2006年03月                             

リライト(2006.03.29)

昨日は飯田橋で鈴木哲也氏と豊橋ミュージカルの打ち合わせ。
ん?なんだか鈴木哲也って言い慣れてないので気持ち悪いな。もぼでいいよな、もぼ君?

古い付き合いなので、気軽に愛称で呼ばせてもらっているが、最近のもぼ君は売れっ子作家なのである。
今年だけでも、あのジュリーや藤山直美さん主演舞台の台本を、立て続けに書いている男なのである。
大作家先生なのである。
本来なら「もぼ」などと気安く呼んではいけないのである。

で、昨日はその売れっ子もぼ君(←なんかちょっと嫌味っぽいなオレ)と、今回プロデューサー的な役割を担う横内座長、そしてオレとで、脚本についての打ち合わせをしたのだ。

すでに今年の初めには、もぼ先生はしっかりとした第一稿を書き上げてくれていて、その内容やストーリー展開については、オレ的にかなり満足していた。

だけど、今回は百数十名が出演する群集音楽劇である。
7歳から70歳までの多種多様な市民出演者のみなさんをしっかり使い切って、なおかつ誰にでも親しみやすく、感動できる、上等なエンターテインメント作品を作るためには、普通の演劇的手法だけでは到底無理だろう。
やはりそれ相応の手立てを講じなければならない。

そのために、大まかな流れはそのままに、もぼ君に対してリライト作業をお願いしたのである。
「ここではこういうステージングにしたい」等、演出的なプランも含めて、かなり具体的な打ち合わせができたと思う。
作家的には、おそらく結構な量の書き直しになるであろう。

演出をするようになってから、いろんな作家さんと一緒に芝居やイベントを作ってきたけど、実はこのリライトをお願いするときが一番気が重い。
なんか、自分が書くわけじゃないのに、好き勝手なこと言ってやがって、みたいな感じがして…。

だけど、もぼ君は『語り継ぐ者たち』のときもそうだったけど、いつもこちらの注文に大らかに答えてくれる、というか、理解をしてくれる。
少々のことでは動じない、なかなか太い男なのである。
そんな彼に職人気質を感じる。

もちろん仕事なので、リライトがあるのは当たり前なのだが、彼には他の作家より、ものが言いやすい。
単刀直入に言える。
彼にとっては迷惑かな?
でも、これはお互いにとって絶対にプラスのことなのだ。


彼も自身のブログで今回のリライトの件を 

>「どうならなきゃいけないかがハッキリしてる」って状況は、そのためにかなりの作業が必要であろうとも、あまり気は重くないのだよ。

と、書いてくれている。よかった。


そういえば、もぼは禁煙を始めたみたいなことをブログで書いていたが、まだ続いているのだろうか?
実はオレも禁煙をしているのだ。
気がつけば2年半になる。

かなりのヘビイスモーカーだったのだが、きっぱりとやめた。
原因は…
ちょっと長くなるので、禁煙話しについてはまた次回。




      

散々、もぼの話しをしていてなんですが、写真は美しい女性とのツーショット。
『tatsuya』のヒロイン、伊藤裕子。
見たまんまのさばさばとしたナイスガイ(?)
彼女は『tatsuya』が初舞台だったのだが、観に来た人がみんなビックリしていた。
まさかあんなにできるとは思わなかった、と。
役者が褒められるのが、最高の演出家冥利。
そういう言葉は本当に嬉しい。
今後は、できて当たり前、それ以上に期待を持たれる女優さんになって欲しい。
ポテンシャルはきっとある。



男。(2006.03.27)

ジムで久しぶりにK君に会った。
K君は、かつてアイドルグループの人気タレントで、今は映像に舞台に大活躍の実力派俳優だ。

多分、彼も30半ばになっているはずだが、若い頃と少しも体型が変わらない。
スリムでシャープ。
あの身体をキープするのは並大抵ではないだろう。
本当は酒好きなのに、昔から飲まないように自制していた男だ。
いまだに酒は月1回程度に抑えているらしい。

たまに雑談をしながら、一緒にトレーニングをしていたのだが、かなりハードなメニューを、歯を食いしばりながらこなしていた。
そしてあれだけの大物なのに、今でも少年のように、はにかみながら喋る姿が、ボーイズ好きのおいらには堪らなく魅力的だった。


オレは豪快に酒やバクチや女に溺れるアウトローに憧れながら、一方でこういうストイックな男にも魅かれる。
でもどちらにもなれない。
中途半端なままだなあ。

出来ることなら、酒を浴びるほど飲んでも、次の朝にはきっちりランニングをこなし、バクチも強くて仕事もできて、余計な口は利かないが、たまに話す会話が粋で、婦女子に対しては近寄り難いオーラを発しているが、狙った獲物は逃さない。ソンナオトコニ、ワタシハナリタイ?



SHOCK(2006.03.25)




少し更新が滞ってしまった。
すんません。

近況報告を。
『サクラ大戦 紐育レビュウショウ』をやっていた。
結成10周年の節目である今年、惜しまれながら解散してしまう『帝都花組』を引き継ぐ形で結成された新チーム『紐育星組』のショウだ。
こんなこと書いても、分からない人にはチンプンカンプンでしょうね。
でも詳しい説明は省く!

産声をあげたばかりの、まっさらな、生まれたてのカンパニーの一員になれたこと。何よりもそれが、私にとって、とても貴重な体験になった。

何もかもが手探りで、出演者もスタッフも不安を抱えて、けれども新しいものを一から創りだす喜びに溢れた現場だった。

この稽古を通して、芝居作りというのは集団作りなんだということを改めて思い知った、オレだ。
どんなに立派なお題目を唱えても、どんなに凄い人材を集めても、良い集団、良いチームになるとは限らない。
また、すごく性格の良い人たちが集まって、すごく仲の良い集まりができたとしても、それが本当に良い集団かというと、そうじゃない気がする。

この『紐育』のチームは、かなりの曲者揃いだった。
みなさん、普段はそれぞれ個人でお仕事をしている方達だし、かなりの売れっ子揃いだしね。

オレも、一人ひとりがあまりにも個性的過ぎて、最初の頃は正直、まとめ上げる自信がなかった。
でも、それぞれの役者が自分なりのアプローチの仕方で、変なプライドを捨てて、慣れない歌や踊り、舞台の演技にぶつかっていく姿は、やがてプロのダンサーや百戦錬磨のスタッフ達の心を動かしていった。

初めて出会った赤の他人の集まりが、短期間で、運命共同体のショウ・カンパニーに変貌していくさまは、渦中にいるオレ自身もワクワクする経験だった。

千秋楽は、メインキャストもダンサーも全員が、涙、涙のカーテンコールだった。
スタッフも涙ぐんでいた。
まるで『ラブ×3』の千秋楽のようだった。
だけど、うちの研究生とは違って、出演者はそれぞれ、かなりのキャリアを持っているひとたちばかりなのだ。
それが、あそこまで感激している姿に、感動してしまった。

個人的にかなりタイトなスケジュールで迷惑をかけたけれど、それでも使ってくださった広井プロデューサーに心から感謝したい。
そしてぼくらと同じようにドキドキしながら、よちよち歩きのこのチームに暖かい声援を送ってくれた、たくさんのたくさんのお客さんたち。本当にありがとうございました。
これからこのカンパニーがどのように成長していくのか、是非見守ってください。



『紐育』を終えてここ数日は久々にゆっくり過ごしている。
人に会ってメシ食ったり。酒飲んだり。
今年に入ってからのこの3ヶ月は、あまりにも目まぐるしくて、ちょっとオーバーヒート気味。
少しクールダウンをしたい。
でも、仕事いっぱい待ってる。
遊んでいても、サボっている様な罪悪感があって、あまり楽しめない。
ああ。


昨日は『エンドレス ショック』を観て来たさ。
ずっと観たかったんだ。
やっと観られた。
出演者にチケットを取ってもらったので、5列目のほぼ真ん中という、とても良い席で観た。
おいらの頭上を堂本光一くんがビュンビュン飛び回っていた。

いやあ、噂に違わぬエキサイティングなショウでした。
ほんとにジャニーさん尊敬します。
あんなショウはラスベガスでしか観られないと思っていた。
お金と手間とこだわりと熱のこもった、本当にワクワクする舞台だった。

全ての出演者から、「私はこの舞台に立っているんだ」、というプライドを感じたね。
また、そういうプライドを持たせているジャニーさんが凄い。

どんなにお金をかけても、どんなに最新の機械を使っても、最終的に演じるのは人間だから。そしてぼくらは人間を観たいのだから。
どんな凄いテクノロジーも時間がたてば慣れてしまう。
だけど、人の演ずる姿は不思議と飽きないものだよな。
この舞台は、お金と技術と人間の力のバランスが、とても素晴らしいと思う。

ただひとつ言わせてもらうならば、お芝居の部分がショウの完成度に比べて劣っているのが残念。

ともあれ、良い舞台で共通するのは、出演者とスタッフがその仕事に誇りを持っているということ。
当たり前のようだけど、そうでない舞台がいかに多いことか。
そんなことを改めて感じた今日この頃。

来週は『滝沢演舞城』を観に行くぞ。
公演中止にならなくて良かった。




  『紐育レビュウ』 マダムバタフライ(劇中の役)を演じる、昴(サクラ大戦のキャラクター)役の園崎未恵さん(曲者です)と。



千秋楽(2006.03.07)

一昨日、『tatsuya』が無事、千秋楽を迎えた。
ライヴの宿命だけど、どんなに時間と手間と思いをかけて作っても、終わったら跡形もなく消えてしまう…。
だから、千秋楽の舞台はめでたくもあり、寂しくもあり。

とくにこういうプロデュース公演はなおさらだ。
劇団ならまた同じメンバーと出会えるけれど、彼らと次に仕事ができるのはいつの日だろう。

今回の出演者はキャリアと実力のバラつきはあるけれど、みんなが最後まで、高い志しと舞台に対する緊張感を持ち続けてくれた。
だから演出のオレにとって、とても気持ちのいい現場だった。
ぜひまた一緒にモノを作りたい、そう思わせる役者さんばかりだった。



それにしても本当に大盛況の公演だった。
去年から紀伊國屋ホールでは補助席を出すことができなくなったので、知り合いからの観劇申し込みをずいぶん断ってしまった。
劇団ではいつも観客動員で苦労しているので、なんだかちょっと複雑。

今回の出演者たちの人気には驚かされた。
パンフレット売り場はいつも長蛇の列だし、劇場周辺では毎日、出待ち入り待ちの女の子がたむろしていて、とても紀伊國屋とは思えない風景だった。
この若い女性観客に、暗くて過激なこの芝居が、どのように受け取ってもらえるのか少し不安だったが、どうやら好評だったようで、一安心。
僕らの仕事は、お客さんに喜んでもらうのが一番大切なことだ。

とにかくひとつの舞台が終わってしまいました。


そして千秋楽翌日からは休む間もなく次の稽古場へ。
サクラ大戦歌謡ショウの新プロジェクト『紐育レビュウショウ』の演出をさせていただくのである。
実は稽古はもうとっくに始まっていたのだが、『tatsuya』が終わるまで参加できなかったのだ。
このショウはお芝居よりも、歌や踊りが中心なので、ぼくが行くまで、振り付けを先行してもらっていた。

稽古参加初日はいきなりアンサンブルダンサーの衣裳あわせ!
何がなんだか分からないまま、ああだこうだ衣裳に注文をつけるのはとても心苦しかった。
参加が遅れて迷惑をかけた分、これからは死ぬ気で頑張れオレ!

それにしても昨日まで、むさ苦しい男の裸体に囲まれて死ぬか生きるかの芝居をしていたのに、次の日からはいきなり華やかな女性ダンサーばかりの現場で、なんかこの環境の変化に頭が爆発しそう…。



『tatsuya』初日。(2006.03.01)

昨日『tatsuya』の幕が無事に開いた。
とても良い初日だった。
納得の舞台に仕上がった。


今だからいえるが、稽古は大変だった。
全ての出演者が初めて会う人たちなので、各人の個性や性格や考えや、演技の質を見極めるのに時間が掛かった。
加えてメインキャストの半数が、ほとんど舞台経験のない若者で、とても基礎的なことから始めなければならなかった。

なので、かなり手間のかかる稽古場であった。
だけどその『手間』がオレ自身にとっても、自分の演劇観や演出家としての方向を改めて自覚しなおす、とても良い作業と時間になった。
だから結果として、とても楽しい稽古場だった。

前回の日記に、いつになく穏やかなココロモチと書いたが、実はあれは嘘で、あの時点で舞台に上がるレベルに達していない役者が若干名いて、とても狂おしいココロモチだったのだ。
だけど不思議なもので、最後の最後の稽古で、その彼も今までの苦しみが嘘のように、まるでストンと音が聞こえるくらいにあっけなく、見事に役者になった。



話しは変わるが、初日の幕が開く前というものはとても落ち着かなくて所在がなくて、楽屋にいたら煙たいだろうし、ロビーはお客さんがいるし、舞台裏はスタッフの邪魔になるし、ドキドキした心を安住させる場所がないのだ。
なので、劇場の中をうろうろ、うろうろ歩き回っている。

で、いつものようにうろうろ照明や音響さんたちのオペレーターブースのあたりをうろついていたら、あるスタッフさんが自分の使う機材に向かって両の手を合わせて、深い祈りを捧げていた。

今、舞台の音響や照明機材というのはものすごくハイテク化されていて、ほとんどがコンピューターによって記録され制御されている。
人の手だけでやっていた時代より、遥かに複雑で高度な表現が出来るようになった。
だけどその代わり、相手は機械である。
いつ機嫌を損ねたり、壊れてしまうか分からない。
オレも照明の何百というデーターが一瞬にして消えてしまった現場に居合わせたことがある。

開演直前の薄暗いブースの中で、小さなパソコンに向かってじっと祈りを捧げていたそのスタッフの姿を観て、思わず涙がこぼれた。
こういう思いで舞台を支えてくれているスタッフがいる。仲間がいる。
絶対に良い初日になるだろうと思った。



もうひとつ昨日は嬉しいことがあった。
この日記にも何度も登場している友人の美術家・金井勇一郎氏が読売演劇大賞の最優秀賞を獲得したのだ!
昨日はその授賞式があったらしい。
今回の『tatsuya』の美術ももちろん金井勇一郎。
とても美しい舞台装置です。





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