ベイベー逃げるんだ!(2003.11.27)
ごめんね。ごめんね。ごめんなさい。 ずいぶんご無沙汰してしまいました。
最近のぼくは、とにかく逃げ回っていたのだ。 今年中にやっつけなくてはならないというか、準備しなくてはならない芝居を3本抱えていて、かなりテンパイというか、ターハイというか、とにかく一杯一杯だったのだ。
だからといって、忙しくしていたわけではなく、ただただ、逃げまわっていたのだ。 パチスロでン万円すったり、ファーコートを衝動買いしたり、一日中テレビを見ていたり、漫画喫茶で「あずみ」を読み返していたり、なるほど今年はボジョレーの当たり年だねとか、無意味な毎日を過ごしていたのでありました。
ぼくはね、基本的に怠け者なんだと思う。 むかしから宿題とか大嫌いで、提出日には学校を休んだりしていた。 辛い事があるとすぐ眠くなるしね。 寝られないくらい悩むって事がないんだ。 悩み事があると、すぐに睡魔が襲ってくる。
だけど、ぼくももう大人だからね、逃げてばかりいられないのである。 そのうち締め切りとか、タイムリミットとかがやってくるのだ。 で、せっぱ詰まってから仕事に取りかかるんだよね。 なんでもっと早くからやれないんだろう。いつも思うんだけどなかなか治らない。
でも、不思議なもので、追い込まれてからの方が、良いアイデアが生まれて来るんだ。 今日も打ち合わせの直前に、「俺って天才!」と思わずほくそ笑んだ演出案が浮かんだ。 ま、大抵あとで冷静になると大した思いつきじゃないんだけど。 奇しくも座長が日記で同じようなこと書いていたね。
結局宿題を抱えていると、パチスロやっても、飲みに行っても、本当のところでは楽しめないんだよね。 いつもなんか、心臓の裏側にしこりみたいなものを感じている。 いいのか俺、こんなことしていて。 いつまで逃げているつもりだ。 でも、そんなことを感じれば感じるほど、また逃げたくなる。眠くなる。
今日は2月にやる芝居の作家と、かなりちゃんと打ち合わせが出来たので、少し気が楽になった。 やっと情報が解禁になったので、発表しますが、2月はつんく♂プロデュースのミュージカルを演出します。
これがここのところの、ぼくのエスケープ癖の根元。 つんく♂とやるとか、大きな劇場でやるとかそういうことがプレッシャーなのではなくて、芝居とは少し違うフィールドの人たちとの仕事に、ストレスを感じていたのだ。 今までぼくがやってきた芝居の作り方とはかなり違うんだよね。 でも、それももちろんいい経験だし、思いっきり楽しもうと思っているのだけれど。
12月2日からはいよいよ『サクラ大戦』の稽古が始まる。 なので、明日からちょっとサイパンまで逃亡します。 帰ってきたらまた。
冷え込んでまいりました。(2003.11.14)
夜曲のお礼が遅れてしまいました。 どうもすみません。
みなさんありがとうございました。 みなさんの拍手や、書き込みに励まされて、無事に公演を終えることが出来ました。
半年前からこの芝居の準備をしてきたぼくにとっては、公演期間はあっという間で、淋しい限りです。 でも、こうして終わりがあるから、また新しいスタートを切れるのだと思っています。
次は『曲がり角の悲劇』。 もうすでに、台本を枕元において、あれやこれや夢想しています。 とても楽しみ。みなさんも楽しみにしていてください。
そして、実はその前に2本の外部演出をやることになっています。 まず「サクラ大戦」の正月公演。 翌2月には、少し派手なプロデュース公演。 これはまだ、正式発表をしていないので、詳しいことは近々。
かなりハードなスケジュールだけど、いただいた仕事はどんどんやっていきたいと思っています。 やる以上は、誰にも負けない演出家になりたい。 まあ、勝ち負けの基準は難しいけど。 とにかく今はいろいろな現場で、沢山の経験をしたい。
いい芝居を創りたいんだ……。
でもここだけの話、かなりびびっています。 大丈夫かオレ? 本当に出来るのか? メッキが剥がれやしないか?
千秋楽(2003.11.11)
いよいよこの日を迎えました。 17年前、この作品と出会わなければ、間違いなく今のぼくはいなかった。 芝居もきっと続けていなかったでしょう。
いまでもはっきりと憶えている。 見終わったあと、横内さんに会わせてくださいと興奮してお願いしたときの受付の人の困惑した顔を…。 横内さんが現れるまで、少し後悔しながら待っていた薄暗いロビーの匂いを…。 そして、会うなり、この劇団に入れてくださいと、引きつった顔で懇願した時の抑えきれない衝動を…。
六角のツトムも、中原のサヨも、加納さんの黒百合も、岡森の十五も、そしてあの焼け跡の中で繰り広げられた悲しい物語も、ぼくの想い出の中で、今でも生々しく息づいている。
誰がなんと言おうと、『夜曲』はぼくにとって大切な作品です。
でもね、だからこそ、その思い出に縛られないことから演出を始めました。 それは、今までと違う全く新しい『夜曲』を創るんだ! というような気負いとも違うんだけど。
今まで3本だけだけど、演出をしてきて、今回は自分の「熱」を少し客観的に見られるようになったと思う。 今までと違って、役者に対してもずいぶん任せられるようになった。 自分のイメージに押し込めることが少なくなった。 これまでの3本は、正直がむしゃらに創ってきた。でも4本目のこの作品は自分でも不思議なくらい冷静でした。 もちろんこれからも、がむしゃらであることは失いたくないけど。
この作品で、やっと演出家としてスタート地点に立ったんだなと、自分では思っている。 だから、現時点で、この作品が今のぼくの精一杯です。 お客さんが足りないな、と思ったり、不満だなと思われるところがあるとしたら、それは現時点でぼくの足りなさなのかもしれない。 もちろん観客の好き嫌いはどうしようもないけど。 ぼくはぼくの好きな世界をこれからも創り続けたい。
今回は若い役者が成長しました。 そして有馬が、良い意味で舅となって、ぼくの目の届かないところを埋めてくれた。 大門さんも恵ちゃんも、うちには無いキャラクターと魅力をもたらしてくれました。 いい座組だったと思う。 ぼくは好きな芝居だなと思う。
でも、まだまだこんなもんじゃないだろう、扉座! まだまだこんなもんじゃないだろう、茅野イサム! とも思っています。
公演中、同じ時間と空間を共有してくれたみなさん、本当にありがとうございました。 また、BBSにあたたかい声援・感想ありがとうございました。
ツトムの最後のせりふがぼくは大好きです。
「いつも一つの物語を読み終わりそうになるとき、ぼくはその人々、悪役も正義の味方も、みんなにさよならをいうのが辛くなっちゃって、少しずつ、少しずつ、物語を引き延ばそうとして……ゆっくりページをめくりだすのです。それでも物語にはいつか必ず終わりが来て……きっとさよならの時が……さよならの時が……。」
では、最後の舞台に行って来ます。
あと2回(2003.11.10)
またまたちょっとご無沙汰の茅野です。 連日たくさんのお客さんに詰めかけていただいて、本当に感謝です。 土曜日はついに補助席が沢山出ました。 今回は出演者も少ないので、前売りではかなり苦戦していましたが、みなさんの応援のお陰で、連日ほぼ満員の観客席。出演者も力が漲っています。
今回は若い役者がとても重要な役を担っています。 一生も恵ちゃんも高木も森下も岩本もまだ二十代。 だから、まだまだ不安定なところも多くて、いつも客席で緊張しながら観ています。 ぼくが緊張していてもしょうがないんだけど、、、。 演出をするようになってから、自分が神経質だということに初めて気付きました。 客席にいるだけなのに、すごく体力を消耗する。 この何日かは微熱が続いている。 俺って結構ナイーブ。
でもね、みんな間違いなく成長しています。 毎回新しい発見をしているなあと思います。 でも、それもあと2ステージ。 もうすぐ、跡形もなく消えてしまう……。
ちょっとご無沙汰(2003.11.06)
このところ、書き込みさぼっちゃってごめんなさい。 芝居がはねてから、連日飲んだくれちゃって、家に帰ってからパソコンを立ち上げる間もなく、酔いつぶれていました。面目ない。
最近、体力の衰えをひしひしと感じている。 飲み屋に行っても、すぐ眠くなる。 お酒も弱くなったし。 ああ、いやだいやだ。
ところで、芝居の方は順調です。 もちろん生ものだから、日によって多少の出来不出来はあるが、しっかり上向いていると思う。 嬉しいことにお客さんも日毎に増えている。 昨日は直前まで、席が空いていたのだが、当日になったら、満席だった。本当に嬉しい。
役者も、客席の空気を感じ取りながら、少しずつ変化している。 たとえば、一生の芝居もいい意味でわかりやすくなってきた。 初めの頃は、たぶん放火魔という設定にかなり縛られて、内向的になりすぎていたところがあるのだが、出るところは出る、引っ込むところは引っ込む、みたいな存在の幅が出てきたと思う。
岩本も本番になってから、とても上手くなった。 肩の力がずいぶん抜けてきたという感じ。 稽古場ではいくらやっても出来ないことが、お客さんを前にしてポロッと出来ちゃう事があるから、舞台は不思議だ。 反対に松下君は、力の入れ具合が分かってきたなと思う。 腰も入ってきた。
有馬は毎回微妙に芝居が違う。 今回は、絶対になぞらないぞという想いが伝わる。 僕らはついつい、良かったときの演技をなぞってしまうことがある。 たとえば、昨日とても「うけた」ときのタイミングや言い方みたいなものを、今日もまた「再現」しようとしてしまう。 でも、たいていそれをやるとダメになる。 演技でやっぱり一番面白いのは、セリフとしてあらかじめ決められているのに、そしてもう何百回と喋っているのに、初めて喋った言葉として舞台上に現れた瞬間だと思う。 でもそれがとても難しいんだ。 他の役者も気を抜くことなく、集中力を維持している。 いろんな事に挑戦していると思う。 とてもいい状態です。
さて、今日はもう中日(なかび)です。 ここまで来ると、演出家の出来る事なんて本当に限られているのだが、毎日少しでもあがこうとしています。 昨日はセットの柱を短く切ってしまいました。 今日もこれから劇場で、あるシーンの稽古をします。 とにかく今より少しでもいい芝居になるように、残りのステージも役者やスタッフと一緒に勤めていきます。 どうか、応援をよろしくお願いします。
初日(2003.11.02)
いい初日だった。 もちろんまだまだ足りない部分はいっぱいあるけど、とりあえずいい初日だったと思う。 今日はちょっと初日宴会で飲み過ぎて、かなり酔っぱけているので、また明日、いろいろ書きますね。 今日観に来てくれてみなさん、どうもありがとうございました。 おやすみなさい。
10月31日(2003.11.01)
今日は紀伊國屋ホールの仕込みだった。 劇場のサイズが厚木よりちょっと小さいので、舞台上にセットが目一杯に立っているという感じ。 アクティングエリアは狭くなるけど、絵はこちらの方が好きだな。 今回のセット、ぼく的にはかなり気に入っている。 具象と抽象。現在と過去。 これが今回の美術のテーマ。 デザイナーの上田淳子さんは、見事にぼくのイメージに応えてくれた。
昨日は『キルビル』を見てきた。 大門伍郎さん目立ってたよ。 高橋一生はマスクをしているので、かなり注意しないと見逃してしまうかも。 それにしても、タランティーノの映画に出られるとは羨ましい。 一生なんてタランティーノのことを、「クエンティン」なんてファーストネームで呼んでいるんだぜ。 なんとなく嫉妬。むかつく。 感想は、これから観る人に先入観を与えてしまいそうなので、また機会があれば書きたいと思います。 ただ、Vol.2も観てしまうな。きっと。
おとといは、初めて『猫のホテル』を観に行った。 劇団名のイメージから、なんかメルヘンチックなお芝居をするとこだと思っていたのだが、まるっきり違った。 ものすごく毒のある芝居だった。 演劇の「劇」は劇薬の「劇」だったな、なんて事を思い出させてくれた。 いい刺激になりました。 役者も個性的で面白いね。 生っぽい会話やギャグがいい意味で小劇場的だった。 あと、スズナリという小さな空間だからこそ、というような小道具や転換がワクワクさせてくれた。 たぶん観る側の、好き嫌いがはっきりする芝居だと思う。 そこもまた、潔しという感じ。 ぼくもまたスズナリで芝居をやりたくなりました。
13日はこの『猫ホテ』さんと野球の試合をやります。 応援大歓迎なので、観戦に来てください。 詳しいことは、劇場のドアクラブコーナーで、山中たかシがチラシを配っているので、そちらを見てね。
さて、いよいよ明日は新宿初日。 今日はドキドキして眠れそうにない。というのは嘘で、かなり眠い。 幕が開いたら、演出なんて何もできないからね。 客席から祈るように見ているだけです。 どうか最高の初日になりますように。
みなさん、ぼくは毎日劇場にいるので、ぜひ気軽に声をかけてくださいね。 それから、バシバシ感想を書き込んでください。 それから、もし『夜曲』をご覧になって、楽しんでもらえたようなら、 その楽しみは独り占めしないで、友人、恋人、親戚、家族、同僚、上司、いろんな人に広めてくださいね。
では、劇場でお待ちしています。
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